シャーロキアンの冒険

元出版社の販売営業マンの備忘録です。

苦悩する読売新聞サイト ~ネットのニュース記事はどうあるべきか~

www.yomiuri.co.jp

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この前編・後編の2つの記事は、東洋経済新報社読売新聞社の対談です。読売新聞サイトが何について苦悩しているのかがわかるのですが、ただ、この記事を掲載することによって何を目論んでいるのか。それは想像の域を出ません。

まず、2つの記事を要約すると、一次情報を発信している従来からある既存メディアは、ニュースをネットに配信する際、自社サイトで完結させるべきか、それとも他のネットメディアにも記事情報を配信するのが良い選択なのか、どちらにすべきか、他に方法があるのか。という内容です。


まず、会社として2社の違いは、東洋経済新報社は一つの出版社であり、多くの他の出版社と同様に、取次店・書店を通して本を販売しています。一方、読売新聞社は駅売店等を除き、一般人の自宅まで配送する独自の流通網を持っている新聞社です。

この2つ企業が、独自で取材した記事のネット配信を、どうするべきかと対談しているわけです。

但し、悩んでいるのは読売新聞社です。


東洋経済新報社は、良く知られている「会社四季報」を発行するビジネス書の出版社なので、「東洋経済」本誌も企業情報や学生の就職活動など、「働く」ことをテーマとした記事を多く掲載しています。出版業界内では、ビジネス書の版元として認知されていて、新聞でいうところの日経新聞にあたります。

逆に「読売新聞」は、出版業界でいえば総合誌です。扱う記事内容は多岐にわたり世の中のほとんどの事象を取り上げています。


東洋経済新報社が運営している「東洋経済オンライン」も東洋経済本誌と同様、ビジネス系の専門記事サイトで、結論的にいうとネット配信は成功しています。サイトを購読する読者ターゲットが絞られているが故に、これまで培ってきた専門性が読者ニーズにネット上でピタリとマッチしているわけです。

出版業界では、特に女性総合誌は随分と前に休刊しています。これは、読者の多様な価値観から、右向け右といったひとくくりの情報の存在価値がなくなってきた時代の流れに起因し、価値観の多様性から生まれた数多くの女性誌の存在もその要因として挙げられます。

このような流れの中に新たにインターネットが加わったため、今度はこれまでの紙媒体の存在が失われ新聞業界や出版業界は斜陽産業になっているのが現状で、総合情報を扱う読売新聞のサイトなどは特に、微妙なポジションであるといえます。

読売新聞などは、独自の流通・販売経路を持っているわけですから、ネット上においても読者の囲い込みということが出来るのかもしれません。たとえば日経新聞サイトは有料化しています。ただやはり東洋経済サイトと同様に、扱う記事内容は専門的です。

インターネットは敷居の低さから、やろうと思えば個人メディアも作ることが出来ます。現在では多くのキュレーションサイトもあります。

そして今となっては、ニュース記事は無料が当たり前という風潮でさえあります。

東洋経済サイトのような専門性を持つサイトも数多く存在している中、このような状態のネット上で、あれもこれも扱う総合ニュースサイトである「YOMIURI ONLINE」の進むべき方向はどうあるべきか。二次情報を扱うサイトへニュース記事を配信するのがベストなのか。

常時接続が可能となって20年も経つインターネット上での、読売新聞サイトの苦悩はまだまだ続くのか否か。

結論はいずれ出ると思います。ただ気になることは、この問題を記事化した意図なのですが・・・。どのような目論みがあるのか。

今回の備忘録でした。